2020年度に工種拡大したi-Construction。【ICT法面工】の基礎を解説

2021.2.18
建設・土木業界の生産性向上のために、国土交通省の旗振りのもと2016年度より始動した「i-Construction」。

2017年度には「ICT舗装」が認証され、さらに2019年度には地盤改良工における浅層・中層の混合処理工にもICT化の波が訪れた。そして2020年度には、ICT地盤改良(深層混合処理工)、ICT舗装工(修繕工)、そしてICT法面工(法面枠吹付工)が、ICT施行対象工種として新たに認定されている。今回はICT法面工にクローズアップして、その概略を紹介していく。

危険と隣り合わせの法面工に、安心・安全な作業環境を


法面工は、河川の増水・氾濫や降雨による土砂の流出など、自然災害から地域社会を守る重要な工種である。しかし、その性質から、施行現場は勾配のある斜面といった危険の伴う場所が多く、転落や墜落災害のリスクが非常に高い。


すべての工程を作業員による手作業で行っていたICT導入以前は、常に危険と隣り合わせだった。時には作業員の身体にロープを固定してぶら下がりながら作業を行わなければいけない。さらに法面の法長は広範囲に及ぶため、一つひとつの工程に多大な時間が費やされている。

「危険」「リスク」が前提だった法面工の仕事が、ICT化によって大きく変化する。では、具体的にどのような技術が活用されているのかを見ていこう。

UAV活用により、安全&短時間で正確な地形データを測量


法面工(吹付法枠工)におけるICT導入は、2021年現在、主に測量・検査・管理の工程で実施されている。まず測量は、UAVとTS(トータルステーション)による3次元起工測量を行う。UAVを使えば、人の立ち入りが困難な急傾斜でも、広域の測量が短時間で完了する。


これにより、施行前の不安定な法面に測量員を複数人配置し、ロープにぶら下がりながら行うといった危険な作業が不要になった。また、LS(レーザースキャナ)を使用した測量の場合、簡単にヒートマップを作成することができるため、手作業では算出が難しかった掘削土量の正確な算出が可能になったのだ。

検査にかかる転落リスクを低減し、検査時間も大幅に短縮。


「検査」プロセスにおいても測量時と同様、UAVやTSなどを使用する。法面完成時、法面枠の面積を簡単に算出することができるので、あとは事務所のパソコン上で確認作業を済ませば検査工程は完了だ。法面に作業員がぶら下がり、メジャーで計測する必要はない。

手作業により検査が行われていた従来と比較して、時間短縮、そして安全性の確保が実現した。さらに検査データおよび施行前の測量データは出来形管理に活用することもできる。加えて、出来形管理データは、維持・管理時にも多いに役立つものとなる。


測量時にLS(レーザースキャナ)を使用し、ヒートマップを作成していた場合は、再び現地の測量を行えば、施行完了時からどのように土砂が移動したのかを可視化し、正確に把握することができる。これにより、適切な補修工事計画を立てることが可能になるだろう。

また、どのように劣化が進んでいるかを正確に把握することで、経年による劣化だけでなく、降雨量や風量など、劣化の要因を多面的に考慮することができるため、維持・管理計画の見直しにも役立てることができるだろう。

法面工という工種の性質上、 MC(マシンコントロール)を搭載した建機などを現場で使用することが困難なため、現時点におけるICT化は測量・設計・検査・管理という4段階に留まっている。


法面工における作業環境の安全性向上は、周辺地域社会の安全性向上、ひいては毎日の暮らしの安心にもつながるため、今後は施行時においてもICT化が進んでいくいくことを期待したい。



◎ 画像はすべてshutterstockより
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